2004年にEU首脳会議で採択されたEU憲法は、EUの外相と大使館員を設置することを掲げていました。EU憲法はフランスとオランダで批准拒否されてしまいましたが、Hampton Courtで行われた(昨年?)10月の首脳会議では、各国の首脳はEUの対外行動を強化するように求めました。
それに対する答えとして出てきたのが、今回の提案です。この提案は、EU憲法を反映してSolana氏(現在のEUの外交政策の主任で、EU憲法では初代外相になるはずであった)に、外部関係の委員会(?)の仕事に「関る」ように依頼し、また欧州委員会と欧州議会の危機管理における協力を提案しました。
(すみません、今回は訳がかなり不正確な可能性があります。「?」を付けた辺りが特に怪しいです。)
[コメント]
EUは、経済的に長大な力を持っている一方で政治的に弱い、という点を長い間心配していた(参照記事本文より)ようですが、これはEUが分権的な組織である以上自然な事なのかもしれません。すなわち、EUの活動の範囲は結局のところ参加各国の合意の下に定まるのであって、たとえば通貨の発行権などに見られる経済的な主権の委譲は上手く行っても、憲法や外交権などの政治上の主権委譲はなかなか上手く行かないのでしょう。
そういえば、先の日本の解散総選挙の時、民主党が「主権の委譲」という公約を掲げてネット上で話題となってましたが、「主権の委譲」というのは現在では特に変わったことではなく、地域統合が進めば必然的に起こることです。ただ、こうした文脈ナシに「主権の委譲」などといわれれば誤解する国民がいるのは当然なわけで、適当に「地域統合の推進」とかを公約にしなかった民主党にも問題はあるのですが・・・。